ねぇ、あなた、わたしと一緒に暮らしませんかと彼女はすんなりそう言った。
 いえいえ、ご遠慮したいんですけど、いったいあなたは誰ですか?
 あらあら、わたしをご存じない? わたしは健康、あなたはなに?

 そんな、なにって言われても、僕っていったいなんだろう?
 それよりあなた、わたしと一緒に暮らしましょうよ。
 どうしよう、あんまりあなたに興味がないです。

 それって嫌って意味かしら?
 そう言われると困っちゃうよね。
 じゃあ、あなた、それってどういう意味なのかしら?

 困らず言うと、嫌って意味です。
 素直な方だわ、困らないのね。
 それって、しばしば言われます。

 だけど、わたしは健康よ。
 それはさきほど聞きました。
 一緒に暮らして損はしないと思いませんか?

 得もしないと思いませんか?
 得しかしないと思いませんか?
 損しかしないと思います。

 それってあなた、天邪鬼。ちょっとそれは言いすぎよ。
 ごめんなさいって謝りましょうか?
 ごめんなさいじゃすみません。

 すみませんでもすみません?
 すみませんならぎりぎりすみます。
 ならばいっそ、すいません、ちょっと僕って言いすぎました。

 すいませんではすみません。むしろ、あなたにすってほしい。
 君ってちょっと変だよね。
 ええ、あなた、それってときおり言われるわ。

 それっていいこと。だってあなたは健康だもの。
 あらまあ、あなた、わたしをちゃんと知っているのね。
 そりゃあもう、なにしろ僕は不健康。

 あなたとほとんど同じです。