カーテンの向こう、窓の外、夜のとばりが吸い上げられた。
 僕はごろんと布団に包まる。
 どすんと夜から落ちました。

 こんにちわ、ぼそっと夜が言いました。
 こんにちわ、正直僕って眠たいよ。
 ああ、ごめんなさいごめんなさい、わたしが夜だからいけないんです。

 ちょっとまってよ、それってそういうものなのかな?
 そうなんですそうなんです、もういいですから、後生ですから。
 あのさ、君ってちょっと夜過ぎない? 眠いよう。

 違うんです違うんです、わたしって夜なんです、ああ、ごめんなさい、もう。
 だからさー。
 いいんですいいんです、もういいんです、わたしは夜なんです。

 もう、君みたいに完璧な夜は初めてだな、驚いた。
 ああ、もう、なんでわたしは夜なんだ、なんてわたしは夜なんだ、ああ、もう。
 なんだか、楽しそうだね、それって楽しいのかな?

 楽しいですって、そんな、馬鹿な、あなたわたしが夜だからってそんなこと。
 ねえ、夜さん、あなたの夜歴はどれほどですか。
 なんですって、あなた、夜歴? あなたわたしが夜だからってそんなこと。

 眠たいことってないのかな? 僕って実は眠たいよ。
 眠たいですってそりゃあなた、それはわたしが夜だからですか?
 うーん、別に君が夜だからってわけじゃないけどさ。

 ほらやっぱり、いいんですいいんです、どうせわたしはただの夜です。
 ただって無料?
 なんですってあなた、そりゃあわたしは夜ですよ、夜だからってあんまりだ!

 どういうこと?
 そんな酷い、あなたはほとほと恐ろしい、ああ、もう、こんなに恐ろしい。
 もう、いいや、君って夜さ。それだけなのさ。

 あああああ、あなたっていうのは素晴らしい。ほんと、あなたは素晴らしい。
 どうしたの?
 なんだかわたし、あなたが気に入ってしまったみたいです。

 それは嬉しい、寝てもいい?
 ああ、もう、それはご存分に、わたしは昼じゃあないんですよ。
 うん、それはすっかりまるっきり知ってるよ。